「相続と遺言の安心相談室」を運営している岸です。東京都練馬区、武蔵野市、西東京市を拠点として、行政書士として、相続と遺言、事業の幸せなやめ方のご相談を扱っています。
家族会議の経験から
以前、私は高齢者施設で働いていました。そのときに、ご主人をなくされた奥様が、今後の生活をどうするか、話し合う場に同席したことがあります。社会人の息子様もお二人、その場にいらっしゃいました。
奥様は、しばらくはその家で暮らしたいとのことでしたが、それに長男さんが反対しました。一方、次男さんは奥様に賛成されていました。
お母様が今後一人で生活するのか、あるいは、どちらかが引き取るのか、あるいは施設に入っていただくのか、さらに、遺された家を売るかどうか、財産をどう分けるのか。
お二人の意見は正面からぶつかり、最後には怒鳴りあいの喧嘩がはじまってしまいました。
相続、争続、遺言書?
世間ではよく、「争続」にならないために遺言書を、と言います。
遺言書がないばかりに、家族が相続をめぐって争い、「争続」になってしまう、と言うのです。確かに、この場合も、遺された家をどうするか決まっていれば、争いにはならなかったかもしれません。実際、世の中には、遺言書のおかげで助かった、というケースも少なくありません。
でも、一方で、このとき、遺言書があれば「めでたしめでたしだった」とは思えないのです。
遺言書はときに有効です。遺言書がなかったばかりに、骨肉の争いになる、ということだってないわけではありません。ですが、遺言書だけで人の気持ちは癒されません。争いを防げたからといって、ご家族や親族の気持ちが癒されたというものではないのです。
想いこそが大切です
相続は財産に関わる制度です。ですが、相続でもめる原因は、ほとんどが「想い」が原因です。満たされない想い、愛されていないという想い、自分だけ見てもらえなかった、自分だけのけ者にされた、なぜわかってもらえないんだ?、、、等々、ときには本人すら気が付いていなかったような、小さな不満、押し殺された悲しみが、ぶつかり合って、大きなもめごとになってしまいます。
「あのとき兄貴は、、、」
「あのときだってお前は、、、」
「いつもおふくろは、、、」
「おやじがあのとき、、、」
怒鳴りあうお二人の声と、言葉を失い、泣くだけだったお母様の姿が忘れられません。
あなたは何を遺したいですか?
私たちは人であり、生身の、限界のある生き物です。失敗もするし、後悔だってします。そして、そのようなものとして、この世に生を受け、大切な人と出会い、ともに生きています。有限で、完璧とは程遠い存在ありつつ、それでも、誰かを愛し、守り、その人の幸せを祈って生きています。
だからこそ、あなたが去ったあとのことを少しだけ考えてみてください。あなたは、あなたの愛する人たちに何を遺したいですか?
笑顔、思い出、暖かい気持ち、守られている感覚、懐かしさ、応援されている感覚、、、
遺したいのは財産だけじゃないですよね。あなたと一緒に生きて幸せだった、と思ってもらいたいですよね。
わたしたちの願い
どうか、あなたのそんな願い、あなたの想いを、あなたが大切にしている人に伝えてほしい。面と向かって直接伝えられるならそれでいいし、それができないなら、感謝の手紙でもいい。もし間に合わないのなら、遺言書の中に感謝の気持ちを入れることだってできます。
相続対策や遺言書を遺すことは、とても大切なことです。そして、そこから一歩踏み込んで、ご自身がご家族に何を遺したいか、改めて考えるきっかけにしていただけたらと願います。相続対策や遺言書の作成を通して、あなた自身の想いやご家族に伝えたい気持ちを確かめることができたら、うれしく思います。
私たちは、今ここにある幸せを、そっと未来へつなぐお手伝いができたらと思っています。
あなたが大切にしている人が、これからも笑顔でいられるように。
あなたの想いが、あなたの手で、きちんと未来に届くように。

