連絡先リストは、住所録だけでは足りないことがあります

お母さんの友達って、誰に連絡すればいいんだろう
葬儀の準備をしているとき、家族がふと手を止めることがあります。
親族はわかる。
近所の人も、何人かは思い浮かぶ。
でも、昔からの友人、趣味の会の仲間、地域活動のつながり、元職場の人まではわからない。
さらに、あとからこんな連絡が来ることもあります。

自治会の会計資料を預かっていませんか

集会所のカギ、返していただきたいのですが
家族からすると、急に始まる「知らない人間関係クイズ」です。
何かあったときのための連絡先リストは、ただの住所録ではありません。
自分の人間関係について、家族が最後に困らない程度の情報を渡しておくこと。
言うならば「人間関係メモ」が必要です。
家族が困ることは3つあります
連絡先リストというと、名前、住所、電話番号を並べるものだと思いがちです。
もちろん、それも大切です。
でも、それだけでは足りないことがあります。
もしものときに家族が困りやすいのは、主に次の3つです。
1. 誰に訃報や葬儀の案内をすればいいのかわからない
まず困るのは、亡くなったことを誰に知らせるかです。
家族は、本人の交友関係をすべて知っているわけではありません。
誰に葬儀に来てほしいのか、あるいは来てほしくないのか。
葬儀後にでも、亡くなったことだけでも伝えてもらえばいいのか。
住所録だけではわかりません。
特に、家族葬や小規模な葬儀では、全員を同じように案内できるとは限りません。
でも連絡をすれば、相手から聞かれます。

葬儀はいつ?場所は?
電話を一本かければ終わりではすみません。
だから、連絡先リストには、ざっくり次のような目安があると助かります。
| 区分 | 家族に伝わること |
|---|---|
| 葬儀に来てほしい人 | 可能なら葬儀前に連絡し、参列の案内まで考える人 |
| 訃報は知らせてほしい人 | 葬儀の案内は状況次第。亡くなったことは伝えてほしい人 |
| 葬儀後でよい人 | 落ち着いてから報告すればよい人 |
これは、家族に「必ずこの通りにして」と指示するものというよりは、
葬儀の規模や日程に合わせて、家族が判断するための手がかりです。
事情があって連絡を控えてほしい相手がいる場合も、短く書いておくと家族が迷いにくくなります。
2. 親しかった人の本名や連絡先がわからない
家族は、本人の交友関係をまったく知らないわけではありません。
「仲良しのはなちゃん」
「父が毎週会っていたゴルフ仲間」
「俳句の先生」
存在は知っている。
でも、本名がわからない。
連絡先がわからない。
どこの誰なのか、たどり着けない。
これも、よくある困りごとです。
本人にとっては「はなちゃん」で通じる相手でも、家族にとっては情報不足です。
「はなちゃん」だけでは、さすがに広すぎます。
だから本名をつなげておきます。
| 家族が知っている呼び方 | 本名・団体名 | 関係性 | 連絡の入口 |
|---|---|---|---|
| はなちゃん | 山田花子さん | 中学時代からの友人 | 電話番号 |
| 俳句の先生 | 田中一郎さん | ○○俳句会の代表 | 電話番号 |
| ゴルフ仲間の佐々木さん | 佐々木太郎さん | 月例会の幹事 | 佐々木さんから仲間にも伝わる |
大切なのは、きれいな名簿を作ることではありません。
家族が、「あの人のことね」とわかり、いざというときに連絡できることです。
3. 役割や預かり物を、家族が知らない
ここが、意外と見落とされやすいところです。
いざというときの連絡先リストというと、どうしても「誰に知らせるか」ばかり考えます。
でも、亡くなったあとに家族が困るのは、連絡だけではありません。
本人が外で、何かの役割を持っていた場合があります。
- 自治会の会計をしている
- 町内会の鍵を預かっている
- ボランティア団体の資料を保管している
- 会費や集金したお金を預かっている
これらのことを、家族も把握していないことがあります。
「鍵を預かっていませんか」「会計資料はどこでしょうか」「名簿を返してもらえますか」
そう言われても、家族は困ります。
そこで、連絡先とは別に、「役割・預かり物メモ」を作っておくと家族は助かります。
これは、連絡先リストとは別にしておいた方が使いやすいでしょう。役割や預かり物が変わるたびに、連絡先リストを作り直すのは大変です。役割・預かり物メモだけを訂正すればすむようにしておきましょう。
| 関係先 | 今の役割・用件 | 預かり物 | 保管場所 | 確認先 |
|---|---|---|---|---|
| ○○自治会 | 会計担当 | 会計資料 | 机下の青いファイル | 会長の佐々木さん |
| 町内会 | 集会所の鍵を保管 | 鍵 | 玄関横の小物入れ | 町内会長 |
| ○○俳句会 | 名簿を預かっている | 会員名簿 | 茶色の封筒 | 代表の田中さん |
名簿、鍵、会計資料、現金など、家族が自己判断で渡さない方が安心なものもあります。しかるべき確認先をつけておけば、家族もより安心できます。
会費や集金したお金がある場合は、金額、保管場所、確認先、引き継ぎ方法まで書いておくと、家族は助かります。
役職、鍵、名簿、会計資料などは変わりやすい情報です。作成日や更新日を書いておくと、家族が「今も有効な情報か」を判断しやすくなります。
連絡先リスト(人間関係メモ)に書くこと
とはいえ、連絡先リスト(人間関係メモ)も、細かすぎる必要はありません。
家族が見て動ける程度の情報を記入しておけば十分です。
目安は、次のとおりです。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 氏名・団体名 | 個人名、会社名、団体名など |
| 家族が知っている呼び方 | あだ名、通称、会の名前など |
| 関係性 | 友人、元職場、自治会、趣味の会など |
| 連絡方法 | 電話、メール、住所など |
| もしものときの連絡内容 | 葬儀に来てほしい、訃報のみ、葬儀後でよいなど |
| 連絡の入口 | 代表者、幹事、会長、窓口など |
| 家族への一言 | どう伝えてほしいか、無理しなくてよいかなど |
ここにある項目全部を埋める必要はありません。
空欄を埋めることが大切なのではなく、
あくまでも家族が迷いそうなところを見つける目安です。
置き場所は「見つかるけれど、見えすぎない」場所に
人間関係メモには、生存している友人・知人の氏名、住所、電話番号などが含まれます。
誰でも見られる場所に置くのは避けましょう。
見られる人は、家族など必要最小限にしておくのが安心です。
一方で、厳重に隠しすぎると、必要なときに家族が見つけられません。
エンディングノートや重要書類ファイルに入れておき、信頼できる家族に、
「もしものときは、このファイルを見てね」
と保管場所だけ伝えておくのが現実的です。
中身を今すぐ全部見せる必要はありません。
必要なときに、家族がたどり着けるようにしておきましょう。
人間関係メモは、家族に情報や希望を伝えるためのものです。財産の分け方など、法的な効果を持たせたい内容は、遺言書として別に考える必要があります。
まとめ|連絡先リストは、人間関係を伝えるメモ
いざというときのための連絡先リストは、葬儀に呼ぶ人の名簿だけではありません。
自分が家の外で、誰とつながっていたのか。
誰に最後を知らせたいのか。
家族が本名を知らない大切な人はいないか。
役割や預かり物で、家族があとから困ることはないか。
こうした人間関係は、本人にとっては自然でも、家族には見えていないことがあります。そこで、家族が困らない程度に人間関係に関する情報を渡しておくためのものです。
何から始めればよいかわからない場合は、まず「家族が困りやすい情報」を一緒に棚卸しするところから始めてみてください。
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免責・取扱領域
本記事は、一般的な情報提供を目的としたものです。個別の家族関係、財産内容、遺言の有無などにより、必要な対応は異なります。
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